- ICT教育ってなに?
- ICT教育ではどんなことをするの?
- ICT教育のメリットは?
2020年に入り小学校でプログラミング教育が必修化されて、GIGAスクール構想で小中学生1人に1台の「タブレット端末」が小中学生全員に配られました。
今回配られるタブレットやパソコンなどの機器を使用して教育することを「ICT教育」と呼びます。
ICT教育には、以下のようなメリットがあります。
- 意欲的・効率的に学習できる
- 将来役立てられる
- 場所を選ばずに授業が受けられる「オンライン授業」ができる
反面学習の格差が生まれたり、使い方によってはトラブルが起きるということも懸念されています。
そこで本記事ではICT教育について、またメリットやデメリットについてを紹介していきます。
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「ICT教育」とは?
記事の冒頭部分でも軽くご紹介しましたが「ICT教育」は、以下のようなICT(情報通信技術)機器等を利用して教育する方法のことを指します。
- パソコン
- タブレット
- 電子黒板
など
ここからはICT教育について、詳しく解説していきます。
- 「ICT」は「情報通信技術」の略
- ICT教育が導入された背景
- プログラミング教育もICT教育の一つ
「ICT」は「情報通信技術」の略
まずは「ICT教育」の「ICT」について押さえておきましょう。ICTとは「Information and Communication Technology」の略で、日本語に訳すと「情報通信技術」のことを指します。
よく聞く「IT」との違いは「C(Communication)」の有無。「C」が加わることによって、より広い意味として捉えられるようになりました。
私たちの身の回りで言えば、以下のようなものがICT活用の例です。
- インターネットでの検索
- SNSやメール・メッセージのやりとり
- スマートホーム
- テレワーク
- 自動車(自動運転)
上記のように、ICTは私達の生活に欠かせないものになっています。
ICT教育が導入された背景
私たちが常日頃スマホを利用し、家ではスマートスピーカーで便利に生活していることからもわかるように、AIやロボットなどテクノロジーはどんどんと進んでいます。
今後更に技術が進化し、ICTを使いこなすのは必須の時代となることが予想されています。
総務省はICT教育を導入する意義として”トリプルA”を掲げています。簡単にまとめると以下のようになります。(参考:総務省「教育ICT ガイドブック」)
- Active(アクティブ):主体的に深く学ぶ
- Adaptive(アダプティブ):一人ひとりの学習の習熟度が把握できる
- Assistive(アシスティブ):周囲の環境や障害の有無に学習が左右されない
ICT教育を取り入れることによって子ども一人ひとりが意欲的に、自分にとって最適な内容の学習ができるようになります。
プログラミング教育もICT教育の一つです。パソコンやタブレットなどICT機器を活用できるようになったり、コンピュータの仕組みを理解できるようになったりします。
世界的に見てもICTやAIの進化は止まりません。世界との競争力を保つためにも、ICT教育やプログラミング教育は重要なのです。
ICT教育の5つのメリット
ICTは必須スキルですし、教育で導入されると子どもたちにメリットがあります。ここからはICT教育のメリットを5つ紹介していきます。
- 【メリット1】「情報活用能力」が獲得できる
- 【メリット2】意欲的・効率的に学べる
- 【メリット3】時代の変化にも対応できる
- 【メリット4】オンライン授業にも対応できる
- 【メリット5】重たい教科書の持ち運びが不要になる
【メリット1】「情報活用能力」が獲得できる
「情報活用能力」は文部科学省の新学習指導要領でも、言語能力や問題発見・解決能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけられています。
ちなみに「情報活用能力」とは?については、以下のように書かれています。
「情報活用能力」は、世の中の様々な事象を情報とその結びつきとして捉え、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な能力・資質である。
「教育の情報化の手引ー追補版ー(令和2年6月)」より
これだけ読むと少し分かりにくく感じますが、読み進めると具体例も挙げられています。まとめると、以下のようなものが「情報活用能力」となります。
- 必要時にはコンピュータなどの機器を活用して情報を得る
- 情報を整理・比較する
- 情報を分かりやすく発信・伝達する
- 必要に応じて保存したり、共有したりする
- 上記を実行するのに必要な基本操作の習得
- プログラミング的思考や情報モラルの資質・能力
学校でのICT機器での学習を通して、キーボード入力やインターネット上の情報収集の方法などがわかるようになります。またSNSの使い方など、誤った使い方をしないように最近では情報モラルについて授業をする学校も多くあります。
インターネットを便利に安全に使うためには、情報活用能力は必須ですね。
【メリット2】意欲的・効率的に学べる
ICT機器を取り入れることによって、子どもたちの学習への意欲も高まることが分かっています。以下は文科省がホームページで公開しているICT活用の効果です。
例えば算数の多角形を書くことを考えてみると、正確に描くのは難しいですよね。
角度が数度変化したり辺の長さを変えたりすると、どうなるのか?シミュレーションをしようと思っても手間も時間もかかるので、難しいです。
しかしICT機器を利用することで、このようなシミュレーションが簡単にできるようになります。「Scratch(スクラッチ)」などのプログラミング学習ツールを使用すれば、正確に多角形が描けたり、様々なシミュレーションを試したりできます。
操作方法を覚えてしまえば様々なシミュレーションができておもしろいので、意欲的に学べる子も増えるでしょう。
更に、ICT機器の活用は効率的な学習にも繋がります。
正直子どもの日々の宿題の丸付け…大変ですよね。
ICTの機器のタブレット端末のアプリや教材によっては、自動で丸付けをしてくれるタイプのものもあります。(下の画像は「スマイルゼミ」から引用。)
もちろん我が子の得意や苦手を把握することも大切です。しかし算数の計算問題や漢字の練習など、回答がすぐにフィードバックされた方が、子どもも「なぜ間違えたのか」がわかって次回に活かせます。
またこのことは先生側にもメリットがあります。
- 丸付けの手間や時間を減らし、仕事の負担が減少する
- 子どもたちとコミュニケーションを取る時間を増やせる
学校の先生は長時間労働が問題になっていますが、これを解消する手段としてもICT教育は有効ではないかと言われています。
\ タブレット学習といえば /
【メリット3】時代の変化にも対応できる
私たち親世代が子どもの頃には考えられなかったスマホやタブレット、自動運転の車、スマートホームなどが登場し、生活も便利になっています。
その波は仕事にも。医療でも農業でも、どの仕事・産業にもICTを活用したサービスが欠かせなくなりました。
そして今後更に変化が早くなることが予想されています。
- ニューヨーク市立大学 教授キャシー・デビッドソン氏
-
2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう
- オックスフォード大学 准教授マイケル・A・オズボーン氏
-
今後10〜20年程度で、半数近くの仕事が自動化されるだろう
このように変化の激しい時代に対応して子どもが将来活躍できるようにするためには、やはりICTスキルが必須なのです。
【メリット4】オンライン授業にも対応できる
2020年度内にタブレット端末が配られることになったのも、オンライン授業に対応できるように…という目的が大きいです。最近は新型コロナウイルスが流行し、終息の予測もたっていません。
2021年の1月現在、地域ごとに出されている緊急事態宣言では休校の指示は出ていません。しかし今後はどうなるかわかりませんよね。
前の一斉休校の授業の遅れを取り戻すため、6時間授業の日が増えて、夏休みも冬休みも短くなったよ…。
このような事態でも子どもたちが学習できるよう、注目されたのが「オンライン授業」です。
- インターネット環境
- Web会議ツール(Zoomなど)など
- パソコンやタブレット端末など
上記のツールやサービスを使用して授業を自宅でも受けられるようにすることです。ツール次第で先生への質問宿題の提出などもできます。
自宅にいても必要な学習を子どもができるようになるため、人と人との接触を防ぎたい状況にもピッタリと言えますね。
実はこれまでも、2023年までに小中学生に1人1代のパソコンやタブレットが配布される計画となっていました。
しかし今回の新型コロナウイルスの影響によって前倒しされ、2020年度内にタブレット端末が配られ、オンライン授業に対応できる仕組みが作られることになったのです。
【メリット5】重たい教科書の持ち運びも不要となるかも
ランドセル「天使の羽」で有名なセイバンの調査によると、小学生の子どもが持つランドセルの中身は重たい時にはなんと4.7kgの教科書等が入っているという結果が出ています。
これにランドセル自体の重さを合わせると、毎日相当な重量の重さを背負って歩いていることになりますね…。
しかし現代のICTの力を借りれば、この問題も解決できるかもしれません。
AmazonのKindleや、楽天koboなど、電子書籍を活用している人も多いのではないでしょうか?電子書籍のように教科書がタブレット端末に入れることができれば、以下のようなメリットがあります。
- 子どものランドセルの重さが軽くなる、かさばらない
- 自分が分かりやすいよう書き込みすることができ、データとして残しておける
- 紙の節約
- 廃棄の手間やゴミを減らす
もちろん紙だからこそ良い部分もあり、また教科書の業者やメーカーの利益も左右することなので、難しいこともあるでしょう。
しかし重い教科書の持ち運びが不要になれば、子どもも登下校での体力が削られることはなくなり、更に意欲的に学習できるかもしれません。
ICT教育の3つのデメリット
ICT教育には現段階で、いくつかのデメリットがあると言われています。また実際に導入が進めば、別のデメリットが出てくるかもしれません…。
デメリットを知って対処方法を考えることも必要です。
- 【デメリット1】板書する機会が減る
- 【デメリット2】地域や学校・先生のスキル次第で格差が生まれる
- 【デメリット3】使い方を誤るとトラブルに巻き込まれる
【デメリット1】板書する機会が減る
入力作業や連絡・スケジュール管理など、最近は全てパソコンやスマホで行っている人が多いのではないでしょうか?どんどんと板書する機会がなくなり「あの漢字、どうやって書くんだっけ?」となることも多いです。(←私です)
現在は学校で黒板に書かれた内容の板書を行っていますが、ICT教育の導入が進めば、その機会が減ることは考えられます。そうすると漢字などを「書く力」を身につけるのが難しくなるかもしれません。
【デメリット2】地域や学校・先生のスキル次第で格差が生まれる
同じ日本の中でも地域の予算によってICT機器の整備は異なりますし、学校や先生によっても取り組み方も変わってきます。
例えば令和元年の「学校における教育の情報化の実態等に関する調査」によると、教育用PC1台当たりの児童生徒数は、全国1位の佐賀県で1.8人/台に対し、埼玉県などは6.6人/台と大きな差があることが分かります。
更にプログラミング教育は小学校で必修となりましたが、どのような授業をしていくのかは学校や教師の裁量に任されているのです。
このことを考えると、やはり教育に格差が生まれることは否めないと感じます。
プログラミングスクールも都市圏には多くありますが、北海道の地方都市にある我が家の周りにはほぼありません。
地方に住んでいて格差を埋めるためには、やはりICTの活用が必須です。
我が家の小3の娘は「オンラインプログラミングスクール」で受講しています。
※2021年8月追記
オンラインプログラミングスクールのまとめや、我が家の受講しているスクールについては別記事で詳しく解説しています。
▷【半年受講者が徹底レビュー】テックキッズオンラインコーチングの特徴
▷小学生向け|おすすめオンラインプログラミングスクールまとめ
【デメリット3】使い方を誤るとトラブルに巻き込まれる
子どもたちがICT機器を利用するときに、一番心配なのがネット内でのトラブルです。
- SNSでの誹謗中傷
- グループLINEでのいじめ
- 知らない人と繋がる
テレビやネットを見ていると少なからず上記のようなトラブルを目にします。またゲームにハマってしまったり、課金をしたり…ネットの依存症も不安ですよね。
心配を解消するために、お子さんがICT機器を利用する前には「ペアレンタルコントロール」や「スクリーンタイム」で設定をしましょう。
子どもの利用できる範囲をあらかじめ制限することによって、これらのリスクを回避して安全・安心に子どもにICT機器を利用させることができます。
少々手間に感じますが、一度設定してしまえばそのまま利用できますよ。
ICT教育には魅力がたくさん!
ICT教育はいくつかのデメリットもありますが、親である私たちがサポートすることで解消できる問題ばかりです。
一方学習するメリットは多く、子どもが意欲的・効率的に学習できる上、将来的に必須となるICTスキルを獲得することができます。
ICT教育、ぜひおうちでもはじめてみてはいかがでしょうか?