2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されましたね!
文科省の書類によると、導入された背景をざっくり解説すると、以下の通りです。
- 私たちの生活から切り離せない存在となったインターネットやコンピュータを、上手に活用するため
- インターネットでどんどんと加速する世の中(第4次産業革命)に対応するため
子どもたちの時代に「プログラミング教育」が必要なのはわかったけど、学ぶことでどんなメリットがあるの?
そんな方に向けて本記事では「プログラミング教育のメリット」について、一つずつご紹介していきます。
プログラミング教育とは?
そもそも「プログラミング教育ってなに?」と疑問に思う親御さんもいるのではないでしょうか?
まずは、プログラミング教育の目的を抑えておきましょう!
- 「プログラミング的思考」を育む
- コンピュータの働きや、情報社会・情報技術について学ぶ
- 教科の学びを深める
上記のように、IT技術者やプログラマーを養成するという目的ではありません。あくまで「プログラミング的思考」などをねらいとしています。
また「プログラミング」という教科が設けられるわけではなく、普段の教科(国語・算数・理科・社会・英語)のなかで学ぶようになっているのもポイントです。
「プログラミング言語」を学んで、プログラミングをする授業ではありません。
実際に学ぶ内容は、文部科学省による資料で例は出されています。しかし決まっているものはなく、学校や先生の裁量に任せられているのが現状です。
プログラミング教育のメリット9つ
プログラミング教育のメリットは、たくさんあると言われています。ここでは9つのメリットを紹介します。
- プログラミング的思考(=論理的思考)が身につく
- 問題解決能力が身につく
- 教科の学びが深まる
- 想像力・創造力が育つ
- 本質をとらえられるようになる
- 子どもの将来の選択肢を広げられる
- ICTを活用できる人材になる
- 成功体験となり自己肯定感が育つ
- コミュニケーション能力が身につく
プログラミング的思考(=論理的思考)が身につく
「プログラミング的思考」とは、コンピュータにプログラミングするときのような考え方を呼びます。
コンピュータは「あいまいな指示内容では動かない」「指示された通りにしか動けない」という特徴があります。そのため人間側で目的を達成するためにはどのような動きが必要なのか、プログラミングをして指示をする必要があるのです。
プログラミングをするときには、ゴール(させたい動き)から、必要な動きを逆算して考えたり、手順を細かくしたりします。
この考え方が「プログラミング的思考」で、目的達成のために役立てられる思考法なのです。
プログラミング思考(論理的思考)が身につくと、以下のようなメリットがあります。
- やりたいことを、実現するための手順や内容を考えられるようになる
- 筋道だてて、わかりやすい説明ができるようになる
- ものごとに臨機応変に行動できるようになる
また、これらのメリットは、どんな仕事についても役立ちます。
- プロジェクトを成功させるために、効果的な方法や手順を考えられる
- 相手に説得力のある説明ができ、理解してもらえる
- イレギュラーなことにも対処できる
プログラミング的思考は子どもたちが大人になったときに役立つということですね!
問題解決能力が身につく
プログラミング教育を通して、問題解決能力も身につけられます。
魔法のようにいろいろなことができるコンピュータですが、最初からなんでもできるわけではありません。
人間がプログラミングをするからこそ便利に動かせるのです。
プログラミングをするときは「自分が意図した動きをさせるためには、どうすればよいのか?」を、ひとつずつ解決しなければいけません。
文科省の「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」では、「プログラミング的思考」が以下のように書かれています。
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組合せたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」
そのほかにも、
児童は試行錯誤を繰り返しながら自分が考える動作の実現を目指しますが、思いつきや当てずっぽうで命令の組合せを変えるのではなく、うまくいかなかった場合には、どこが間違っていたのかを考え、修正や改善を行い、その結果を確かめるなど、論理的に考えさせることが大切です。
文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」
と書かれています。
まとめると以下のようなことが言えます。
- 目的とする活動を実現するための最適な動きの組み合わせを考える
- より意図した活動になるために、改善方法を考える
- うまくいかなかった場合には間違っていた原因と対策を考えて、再度結果を確かめる
プログラミング教育を通して試行錯誤を繰り返すうちに、問題解決の方法が一つだけではないことに気がつけたり、別の視点から新たに考えられるようになったりと、問題解決能力が身につくのです。
教科の学びが深まる
プログラミング教育は、普段の教科(国語・算数・理科・社会・英語)のなかで学びます。そうするとプログラミングを通して、教科の学びも深められるのです。
例えば算数の時間に正三角形をプログラミングで書くことを考えてみましょう。コンピュータは指示しなければ自分では書けないため、正確に図形の定義を教えなければいけません。
つまり正三角形の定義を自分が知らなければ、コンピュータにも教えられないのです。
正三角形であれば「3辺が同じ長さ」「3つの内角が同じ(60°)」ですね。
プログラミングで指示をすると、定義を理解できていれば正しい正三角形となり、間違えていれば別の図形ができあがります。指示を変えると手では書くのが難しいような図形も書けます。
角を増やすと最終的には丸に近づいていくことも様々な指示を繰り返すうちに理解できるようになるでしょう。
このように普段の教科にうまくプログラミングを取り入れると、教科の学びを深められるのです。
想像力・創造力が育つ
プログラミング教育では自分のアイデアを形にすることができ、想像力・創造力を育てることができます。
- 好きなキャラクターを動かしてみたい
- こんなふうなゲームがあったら楽しいだろうな
想像したものを創造できるのです!
自分で「作ってみたい」と思ったものが実現できれば、子どもたちの創作意欲も増します。創作意欲が増すと更に新たなチャレンジにもつながるでしょう
- こんな機能のアプリがあれば便利かもしれない
- このYouTubeの動画は、どんな技術を使って作られているんだろう
「あんなこといいな できたらいいな」の世界が自分で実現できるので、想像力・創造力が育つのです。
本質を捉えられるようになる
プログラミングで意図した動きをさせたければ、物事の本質を捉えることが必要となります。
先程の正三角形の例もそうですが、本質となる定義を捉えていなければプログラミングをすることはできません。
また「この行動をさせるために必要な指示は?」を考えて、余計なものを取り払っていくうちに、物事の本質を捉えられるようになるのです。
子どもの将来の選択肢を広げられる
プログラミングに取り組むと、子どもの将来の選択肢を広げることにも繋がります。
2020年現在、世界的にプログラミングのできる人材は足りないと言われています。
経済産業省のデータによると、2030年には最大で78.7万人のIT人材が不足するそうです。
私たちの身の回りのほぼすべての電化製品はプログラミングされています。それだけプログラミングも必要とされており、プログラミングができる人材も必要、ということです。
プログラマーやITエンジニアには、たくさんのメリットがあります。
- お給料が比較的高い
- PCとネット環境があれば、どこでも仕事ができる
- 就職先に困らない
プログラミング教育で、プログラミングやコンピュータに興味を持つことができれば、将来自由に暮らせる可能性も高まるのです!
ICTを活用できる人材になるため
文部科学省による「小学校プログラミング教育の手引(第三版)」でも書かれていますが、これからはICTの時代です。
ICTとは「Infomation Communication Technology(インフォメーションコミュニケーションテクノロジー)」の略です。これまでのIT(情報技術)に「C(コミュニケーション)」が加わったものです。
ITは情報技術。ICTは情報通信技術と訳され、ネットで情報の通信(やりとり)や共有ができるようになったために生まれた概念です。
最近はパソコン以外にもスマホやタブレットなどICT活用機器が増え、2020年〜日本全国の小中学生に一人一台のパソコン(タブレット)が、配られることが決まりました。
学校の教育にもICT化の流れがきているのです!
- 新型コロナウイルス感染拡大時に、オンライン授業が可能となる
- 知りたい情報があれば、すぐに検索できる
- わかりやすい授業内容にできる(学力向上が目指せる)
「TOEIC」や、大学入試共通テスト(センター試験)でも、コンピュータによる試験(CBT試験)を導入する予定になっています。
これからの時代はICT機器の活用は必須の時代となります。どんな仕事をする上でも求められる知識・スキルとなるでしょう。
逆にICT機器の活用ができなければ、時代に取り残されてしまうかもしれません。
ICTについての内容や、ICTの基本スキルであるタイピングに関する詳しい内容は、こちらの記事を参考にしてください。
成功体験となり、自己肯定感が育つ
プログラミングは自分のアイデアを形づくることができ、成功体験や自己肯定感に繋がります。
プログラミング学習ツール「Scratch(スクラッチ)」でも、多様なプログラミングが自分で動かしながら学ぶことができます。
▷プログラミング学習ツール「Scratch(スクラッチ)」始め方とメリットを解説
- ブロックを組み合わせるだけでプログラミングできる
- オリジナルのアニメーションやゲームを作れる
- ほとんどがマウス操作のみで直感的に操作できる
- だれでも無料で利用できる
- プログラミング的思考が学べる
自分で想像した通りの動きをプログラミングで実装できれば、一つの成功体験となり、重ねていくことで自己肯定感も育てることもできます。
コミュニケーション能力が身につく
プログラミング教育ではコミュニケーション能力高められます。
子どもたちにとってもプログラミング教育は初めての経験です。パソコンやタブレットを触るのも初めて、という子も多いでしょう。
そのため自分から質問したり、すでに操作に慣れている子が他の子に教えたりというコミュニケーション(アクティブラーニングとも呼びます)も増やせます。
グループ授業で意見を出し合うという機会もあります。
プログラミング教育をすることで、子どものコミュニケーション能力や、自分の意見を述べる力を高められるのです。
これからは「読み、書き、プログラミング」の時代
プログラミング教育での学習は、たくさんのメリットがあります。
「読み書きそろばん」から「読み書きプログラミング」の時代とも言われています。
将来的に子どもたちは、どの分野の仕事に就いても、プログラミングの知識は必要になるでしょう。そのためプログラミング教育で得られる学びも必須となります。
プログラミング教育を通して様々な学びを得られるよう、サポートしていきたいですね!